希望を失い、自信を失い、行く手が霧に包まれ足下さえおぼつかない。
諦めと情けの視線に晒され、それでも救いの手はなく孤独の中をただ生きていくしかない。
周りを見る力も、空を見上げる気力もなく、虚ろな瞳は投げやりに足元へと注がれて。
優しい言葉に少し心が和らいで、がんばって笑って、心が伴わないアリガトウを声にして。
霧の中に時折見える崖に、自ら進みたいとさえ望んだ日々。
それでも勇気の無い私は、ただひたすらに見えない霧の先へ進んでいた。
ーこれから先、どうしたらいいの?
心の瞳は空(くう)を仰ぎ、涙を浮かべ問う。
ーこの道を逸れ、闇の中へと進むべきだと言うの?
無言の中に肯定も否定も感じられず、霧に包まれた道を進むしかなくて。
苦しみを嘆いても、闇への道を踏み出すべきだと助言されても、現状のまだ確かだと言える霧の道を逸れる勇気は無くて。
何度となく苦しみ嘆いて、いくつもの言葉の中に救いを求め、そうしていつしか霧とは違う靄に包まれていた。
生暖かいその靄は、冷たいだけの霧から守ってくれて、道から外れた闇の中をほんの少し照らしてくれた。
それは決して破滅への誘(いざな)いなどではなかった。
周りを見渡す力と、空を見上げる気力、道を切り拓く勇気をくれた。
あまりの居心地の良さに、救いとさえ感じられたそれは、しかし四肢だけでなく心までもいつしか包み込み、侵食される危機感にもがいてももがいても抜け出すことは出来なくて。
抗う術を失って、共に進むことを選ぶ他に選択することは出来なくて。
いつだって私の傍らにあって、時に背中を押してくれる。
結局、自ら求めるようになった。
そうして始めて、あたたかい言葉と優しい眼差しに形が伴い、足下の道に隣接するもう一本の道に気付いた。
ー大丈夫だよ
ー守ってあげる
一緒に進もうと差し出された手を取り、永遠に隣り合い続くことを願って、見通しは立たないけれど明瞭になりつつある道に一歩を踏み出した。
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